第2話

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担任の先生はコホンと一つ咳払いをすると「まぁいい。」と呟いて、「入学式が今から30分後には始まるから用意しとけよ」と言って教室から出ていった。 あぁ、しまった。と思った。 まだ誰も私を助けてくれそうな人は見つけられていない。 とは言え、周りに話しかける勇気もないしな。 仕方ない、男はあんまり好きじゃないけど背に腹は代えられない。 そう思って椅子の上で身体を捻って後ろを向こうとした。 『ガシャン!』 次の瞬間バランスを崩して私は床へと投げ出された。 「うっ…。いったぁー。」 お尻と頭と右腕をぶつけて口から出た言葉はやけに教室に響いた。 きっと今、自分に静かなそして少しの興味を含んだ視線が集まってる。 そりゃそうだろう。 何にもないところで椅子と一緒にいきなりひっくり返った人がいたら、自分が目が見えたら絶対そっち見る。 うわぁ、最悪。 しかも、初日にこれ…。 想像もしたくない自分の姿を思い浮かべて心でそう思った。 それと同時にスカートが捲れてる気がして左腕を伸ばそうとすると、下敷きになってる右腕から激痛が走った。 本当、なにもかも最悪。
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