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つまり、この電脳空間は2030年の設定ってことか...
しかし、良くできてるな...
画質は鮮明じゃないが...
「よし、とにかくここから出ようぜ?」
「わかった。扉開けるぞ」
大地の操作で扉が開いた。
構内に風が吹き込んでくる。
駅の地上施設はズタズタに破壊されていた。
道に停まっている車はすべて窓ガラスは割れ、ボロボロになっている。
車内には白骨化した遺体が乗っていた。
ここでなにがあったのだろうか。
「GPSは...ネット回線ごと切断されてるな...」
そのときだった。
なにかの甲高い遠吠えが聞こえた。
「なんだよ...今のは...」
「わからんが...嫌な予感がする...」
うなり声が段々近づいている。
「クソ、ここにいたらまずい。道の端によれ、目立ちすぎる!」
ここがVRなのであれば、異形の化け物に襲われる可能性はかなり大きい。
俺達が道の端により、隠れる。
目の前の大通りを、たくさんの犬?かなにかを元にした化け物が走っていく。
その時。
銃声が響く。
「おい、誰が撃ちやがった!」
どうやら、美希が恐怖に駆られ発砲したようだった。
化け物はこちらに気がつき突進してきていた。
「クソが!適当でいい、撃て!」
適当、とはいえ、扉を開ける前に、電脳内にあった89式のVRのデータを共有しておいたのが幸を奏したようだ。
「チッ!さすがにVR通りには当たらねぇか!」
「単発で撃て!素人がフルオート射撃何てしたって弾の無駄だ!」
化け物は勢いよくこちらに突っ込んできたが、どうにか弾は当たった。
まっすぐ突っ込んできてくれたのが理由だ。
「クソ、数が多すぎる!」
20匹ほどの群れに手を出してしまったようだ、取り囲まれ、ジリジリと近づかれる。
しかしその時、突然一匹の頭が弾けとんだ。
そして、次々と頭が弾け、化け物は逃げていった。
「な、なんだ!?」
すると、近くのビルから人が手招きをしているのが見えた。
「俺ら以外の人間...?」
大地が言う。
「NPCじゃないのか?」
「かもな。NPCなら、話せばすぐにわかる。」
なぜなら、進化しているとはいえ、NPCの受け答えはワンパターンで、すぐに人との見分けがつくからだ。
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