第1話。

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俺と彼奴の出会いは偶然だった。 昔から俺には見たくないものが見えた。 学校では首を吊った女の霊を見たし、 誰かに憑いてる奴も見てきた。 見えるなんて、誰にも言わなかった。 言っても誰も信じて貰えないのがオチだ。 だけど、たった一人だけは俺を信じてくれた。 あの人はもう他界し、この世には居ないが…。 俺は今年の春に無事に合格し、大学生だ。 実家から大学生まで距離があるからと、 大学に近いアパートで独り暮らしを始めていた。 ( 嗚呼、今日も居る。) 何時も通りにバイトから帰宅すると アパートの前に佇んでる少女。 通行人が気にせず通行してるってことは 此処の地縛霊だろう。 俺も気付いてないように通り過ぎようとすると、 「 ……ねぇ、私が見えるの? 」 「 えっ。」 いつの間にか、少女が目の前に立っていた。 突然のことに驚き声を上げてしまった。 「 やっと、見える人に会えた。」 と嬉しそうな笑みを浮かべる少女に 俺は慌ててその場を立ち去ろうとする。 が、俺の前に少女が立ち塞がる。 「 ま、待って。話を聞いてよ!! 」 「 俺は何も見えてない。何も聞かない。」 「 え、見えてるでしょ!!絶対!! 」 「 見えないったら、見えないんだよ!! 」 俺がそう強く言い放つと途端に集まる 周りからの視線。 周りには少女は見えないのだから、 俺は独り言を言ってるようにしか見えないのだ。 俺は少女を置いて自分の部屋へと走って戻った。 ( 何で、俺がこんな目に。) ズルズルとベットに座り込んでは 深い溜め息を吐き出す。 「 ねぇ、どうしたの…? 」 「 どうしたもこうしたも、あの少女の霊のせいで…。」 「 やっぱり、私のことが見えるんだね。」 にっこりと音がついてきそうな笑みを 浮かべる少女に俺は後退り、見間違いかと もう一度確認するが、見間違いでないようだ。 「 な、何で居るんだよ!! 」 「 やっと見える人見つけたのにどっかに行っちゃうんだもん。」 ぷくりと子供みたいに頬を膨らませる少女。 「……、お前なんであんな所に居たんだよ? 」 仕方なくそう問い掛けてやると、 「 お前じゃないよ。私は宮野汐里(ミヤノ シオリ)だよ。貴方の名前は? 」 「 俺の名前は、藤原比呂( フジワラヒロ )。」 俺がそう返してやると、少女…否、汐里は嬉しそうな笑みを浮かべた。 これが俺と汐里の不思議な出会い。 .
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