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コートを取り、エレベーターに乗り込む。
そこへタバコを持った遠藤が入ってきた。
ペコッとメグは頭をさげ、互いに無言で一階まで降りる。
チンッという機械音がして、メグは開ボタンを押す。
「お先に失礼します。」
ああ、と答え、遠藤がメグの前を通り過ぎる。
遠藤は小さな声で囁いた。
「・・・・・・・・・由紀さんによろしく・・・。」
えっ、と顔を上げ、遠藤の背を見る。
メグはギュッと胸が締め付けられ、泣きたくなった。
だから、その背に大きな声で、分かりました、と答えた。
遠藤は振り返ることもせず、外へ出て行く。
・・・・・・・・・・・・・多分、あの場所へ・・・。
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