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車内でようやく教授は落ち着きを取り戻す。ミレアさんも、一緒になって笑っていたが、本題を続けてくれた。
「続きだけど、発見した本は、今あらゆる古代語に精通した人達を集めて研究している最中なの。でも、どの系統の文字にも該当しなくて苦戦しているところよ。」
「つまり、その本が未発見の文明かも知れないっていう要因の一つって訳ね?」
ミレアさんはハンドルを握り絞め、前を見据えたまま頷く。
今の話が本当であるなら、それだけで大発見である。
未だ全て解明されていないエジプトの象形文字でさえ、系統ぐらいは分類されている。それが本当にどれにも当て嵌まらない文字であるならば、独自の進化を遂げた文明であると、たやすく想像が出来るからだ。
俺は興奮が高まり、つい口を挟んでしまった。
「ミレアさん! 俺もその本を拝見したいです!」
ミレアさんは微笑み、到着したら見せてくれると約束してくれた。
やったぜ!! 世紀の大発見をこの目で拝めるなんて。感激で涙が滝のように流れまくった。
「隼人くん、よかったわね。こんなチャンス滅多にないんだから、しっかりと経験として活かしていくのよ。」
「はひ、おっひゃるとおり、このひゃらだにきじゃみつけまふ。」
涙が邪魔して上手く言葉に出来ん……。
しかしさすが教授、俺の崩れた日本語を解読してくれたようだ。感慨深く俺の肩に手をやり頷いてくれた。
愛してます、教授。
「ところで、亜美。天草くんを見て思ったんだけど、彼を連れて来た理由ってもしかして……。」
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