第9話

11/30
前へ
/30ページ
次へ
「だから標的になったんだ――マリアもあなたも」 類は驚くべき言葉を口走った。 「……標的?」 しばらくは言葉の意味さえ分からなかった。 「そうです。ノアの愛を求めてやまない人間が、彼女に、そしてあなたに深く嫉妬した」 「ああ、そういうことか」 そして――憎しみの標的に。 類は長い睫毛をしばたたき しばらく瞑目した。 「僕らが13歳になった頃です」 やがて 少年の頃に引き戻されたように あどけない目を開く。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

63人が本棚に入れています
本棚に追加