第9話

18/30
前へ
/30ページ
次へ
「まさか」 類は目を見開き 少しおびえた表情で細い首を横に振った。 「彼女はしばらくして死んだんです。治療の成果も思わしくなく――絶望して自ら命を絶ちました」 マリアは死んだと類は言う。 「まずい、戻らないと――」 ちょうど昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。 「先生、また」 「ああ、うん……」 類は音もなく立ち上がると 動揺したままの僕を残して、足早に去って行った。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

63人が本棚に入れています
本棚に追加