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「まさか」
類は目を見開き
少しおびえた表情で細い首を横に振った。
「彼女はしばらくして死んだんです。治療の成果も思わしくなく――絶望して自ら命を絶ちました」
マリアは死んだと類は言う。
「まずい、戻らないと――」
ちょうど昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。
「先生、また」
「ああ、うん……」
類は音もなく立ち上がると
動揺したままの僕を残して、足早に去って行った。
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