第9話

6/30
前へ
/30ページ
次へ
「教えてくれないか?彼の事」 僕はすっかり自分の立場も忘れて 一生徒である類に頭を下げていた。 「小さい頃から見てきたなら分かるだろう?彼が本来どんな人間なのか。どうして今みたいに――」 「強力なS極になったか?」 類が小首を傾げて笑うと 色素の薄い巻毛が軽やかに揺れた。 「いいですよ。だけど僕が話したってノアには秘密にして」 人差し指を唇に押し当て 類は声をひそめた。 「僕が過去の話をしたなんて知ったら、きっと彼ひどく怒る」 「約束する」 僕はそっと小指を差し出した。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

63人が本棚に入れています
本棚に追加