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「教えてくれないか?彼の事」
僕はすっかり自分の立場も忘れて
一生徒である類に頭を下げていた。
「小さい頃から見てきたなら分かるだろう?彼が本来どんな人間なのか。どうして今みたいに――」
「強力なS極になったか?」
類が小首を傾げて笑うと
色素の薄い巻毛が軽やかに揺れた。
「いいですよ。だけど僕が話したってノアには秘密にして」
人差し指を唇に押し当て
類は声をひそめた。
「僕が過去の話をしたなんて知ったら、きっと彼ひどく怒る」
「約束する」
僕はそっと小指を差し出した。
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