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「おっはよーん♪」
「きゃー!!泉くんおはよー!!」
女子の声が耳を突き抜ける。
耳がいてぇ…
「あ、あの…っ」
自分の席に向かおうとしたとき、一人の女子が、なにか持ってきた。
「なに?」
「あの…えっと…、これ、昨日佐藤君のために作ったの!!良かったら使ってね!!」
大きな袋を押し付けられ、女の子は走ってどこかに行ってしまった。
中身をみると、手編みのマフラーが入っていた。
俺のために作られてもな…。
使えにくいし、帰って弟にでもあげよう。
「やっぱ策はモテモテだなー!!」
齋藤の方をみると、女子からのプレゼントで腕がいっぱいいっぱいになっていた。
お前のほうがすげぇっつの。
「でも策はそーゆーの貰っても使わないし、貰ってその子のことどー思うってのもないし、第一、自分のことに興味が無いもんなー、策は。ほんともったいねぇ」
お前に言われたかねぇよ。
確かに、自分のことに興味がないことは否定できないし、齋藤が言ったことは全部合ってる。
今まで付き合った女の子とかいないし。
付き合おうと言われても、好きでもないのに付き合うのは失礼だと思ったから今まで誰とも付き合ったことはなかった。
俺は、貰ったマフラーを深くバッグに押し込み、1時限目の始まりのチャイムと同時に目を閉じた。
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