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「もちろん、のんびりしようとは思ってないわよ?
何か、とんでもないことが起きている……その事だけは確かだから。
……でも……」
フジコ先生は、唇をきゅっと結んだ。
「それなのに、……なぜか被害者がみんな口を閉ざしていて、何ひとつ明らかになって来ない。
それがどうしてなのか、なぜはっきり助けを求めて来ようとしないのか、――そこがどうしても分からないの」
――”みんな”……?
まるで被害者が複数いるような言い方に、わたしは戸惑った。
「みんなって、……誰の事ですか」
「放送部に、投書が来たでしょう」
わたしはハッと口元を押さえた。
「妊娠させられた女の子。
あれはいたずらじゃなく、本当の話よ。恐ろしいことだけど……」
「その子が、ここに来たんですか」
「来たけど、――やっぱり、理由は教えてもらえてない」
「……」
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