記憶

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―慈雨Side―― 慈「・・・とりあえず、自己紹介か。 俺は戌神の慈雨。さっき、俺の隣にいた黒髪のやつは俺の双子の弟で名前は夕昏。 お前らが雪麗と間違えていたあいつは、雪乃。 闇狩一族 白羽が宗家 白羽 雪乃」 土「・・・・俺は、」 俺は土方の言葉を制する。 慈「・・・俺はお前らを知っている。 左から土方 歳三、沖田 総司、斎藤 一、藤堂 平助、原田 左之助、永倉 新八だろ?」 土「・・・・なんでテメェが俺らの名を知っている?」 土方は鋭い目を細め、俺を睨む。 慈「・・・愚問だな。お前らは俺らを見ているはずだ。雪麗を見てきたお前らなら、な」 新選組の中でも強い霊力、見鬼を持っているお前らなら。 沖「・・・・まさか」 慈「この姿の方がお前らは見慣れているか?」 俺は、獣の姿に変化する。 原「雪麗の式神の!」 慈「久しぶりだな」 平「ほんと久しぶりだなっ!って、そんなのあとでもいいんだよ!」 藤堂をはじめ、他の奴らも俺に詰め寄ってきた。 斎「・・・・ここはどこだ?」 永「俺らがいたとことはずいぶん違うみたいだけどよ」 慈「ここはお前らにとっては“未来”にあたる」 平「・・・・?」 慈「・・・お前らがいた時代をいま、“過去”という。つまり、この先お前らが行き着く先の世、だな」 土「・・・・・俺らはあの先、戦い続けるのは覚悟していた。戦い続けたそのあと、俺らはどうなる?いや、どうなってた?」 ・・・・きた。 この質問はしてくるとわかっていた。 特に新選組のことを考え生きてきた土方は。 慈「・・・・・それを聞いてどうする?お前らにとって酷な話であっても、それでもお前らは聞きたいと思うか?」 ・・・・自分で聞いておいて何を考えているんだ? その答えはもう、ずいぶん昔からわかりきっているはずだ。 雪麗がこいつらの側にいたように、俺もこいつらの側で見てきたのだから。 土「・・・・俺らは先が怖くて、死ぬのが怖くて戦ってきたわけじゃねぇ。 ―――近藤さんを頭に、誠の旗を掲げ戦ってきたんだ。 例え俺らにとって酷な話だろうと、俺らが歩んできた道に代わりはねぇ」 ・・・・やっぱり、な。 雪麗、お前はこいつらをよくわかってるな・・・。 お前がこいつらをほっておけないのも、頷ける。 だから、俺らにあんな頼みごとしたんだろ・・・・?
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