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この時世において
心中は御法度であり
死罪は免れぬ重罪である。
其れが遊女であれば尚のこと。
恋乱れたあの人の心は
焦がれた男と果てるを望みしも
願い叶わず
世を儚み
怨み
憂い嘆いて
あの世へと独り
身を投げたのだ。
来世でこそ結ばれんと
私ではない
其の人から贈られた
一対を抱いて――
其れが
私が後に人づてに聞き知った
あの人の゙全でであった。
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