壱乃巻

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あの人に今一度逢えぬのならば 身を焦がしても悔いはない―― 道ならぬ恋 互いの素性を超えて 貪り啜り合った逢瀬の果てに待っていたものは 体裁を傘に着た他人の手による憎き罠 すべからく 破局の一途に他ならなかった。 嗚呼口惜しい なんたる恥辱と苦念にまみれた恋の末路であろうか あの人の鼓動 あの人の指先 あの人の-- 口を衝く言葉は全て あの人との忘れ得ぬ快感を呼び覚ます。
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