弐乃巻

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互いを貪り啜り合いながら あの人の黒髪に揺れる珠玉は 月夜に舞う蛍のごとく 情事に乱れ飛ぶ。 あの簪は 書生である私に贈れる 彼女への精一杯の愛であった。 これは貴方 何時も此処に居るように 私を 奪っておくれ 遊女であるあの人を 一介の書生如き私が水揚げするには 相応の金が必要となるのは明白である。 あの人の髪に艶めく珠玉が 目眩と共に 私を 駆り立てた。
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