参乃巻

2/4
前へ
/13ページ
次へ
それから幾年月が流れたであろうか。 あの人の髪には 私の贈った珠玉が 変わらずに光を放っていた。 しかし 逢瀬を重ね 枕を交わしながらも まるで現を惑うように 私はがむしゃらに 富を得んと奔走していた。 そしてついに 年月を経て事を成した私は 家屋敷を構える官職まで登り詰めた。 やっとあの人を迎えにゆける。 私の胸は高鳴った。 手と手を携え 愛に身を窶し 飛び立てる日が目前に迫っていた。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加