第1話

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父ちゃんの仕事は売れない小説家だ。 小説家なんてものは、皆が印税入りまくりの、ぼろもうけできると思ったら大間違いで。 父ちゃんの小説家としての月の収入なんて、良くて10万、悪くて5万程度なのだ。 全盛期はかなりの売れっこだったらしい。 いくつか賞も貰ったらしいし、確かに俺が小学生の頃は、生活に苦労なんてなかったと思う。 以前は "白の闇"最愛覇者"僕たちは馬鹿" などといった、俺も知ってる有名っちゃ有名な作品もある。 それが今となっては、何を間違えたのか "正しい屁のこきかた"貴様の説明書"鬼嫁はデレる" など訳の分からない作品を出版している。 こんな名前からしてゴミクズのような作品がよく出版させてもらえるな つくづくそう思う。 "鬼嫁はデレる" を出版した時、母ちゃんがまさに鬼の形相で父ちゃんをしばきまわしたのは俺の脳裏に焼き付いている。 一言でまとめると、 うちの父はかなりの変人だということだ。
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