2話目

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数年前に姉から聞いた、姉の親友Aさんの体験談です。 Aさんはマンションで一人暮らしをしています。 Aさんは肝っ玉も座っていて、金縛りにあっても気にせず寝直したり、夜中に不審者が部屋に入ってくると包丁を持って追いかけたりする程です。 (「包丁持って『怖かったよ~』って部屋に来られても、私はアンタの方が怖い」姉談) そのAさんが実家に帰った時の話です。 母・弟の3人でマンション暮らしをしているのですが、どうもその部屋には霊らしきものがいるようなのです。 家族全員気付いていましたが、不気味な姿を見せるわけでも悪さをしてくるわけでもないので大して気にしていませんでした。 ある晩、寝ている最中に突然誰かに足首を掴まれ、ぎょっとして飛び起きました。 その手はAさんを引きずって行こうとするのです。 顔が布団に埋もれるくらいまで引っ張られた時、我に返ったAさんは 「連れて行かれてたまるかぁ!」 と、近くにあったテーブルの椅子を掴みました。 しばらく綱引き状態が続いた後、ようやく足首が解放されました。 すると母親と弟が部屋に入ってきて、聞けば二人とも同じ被害に遭ったというのです。 「今までこんなこと無かったのにね」 と首をかしげながら、その夜は三人一緒に寝ました。 翌朝、Aさんが目覚めると、 「大変大変」 と母親が外から帰ってきました。 何と、隣室のおばさんが自殺をしたというのです。 驚いたAさんでしたが、詳しい話を聞いて更に驚きました。 お隣さんは、昨夜の内に寝巻きのままベランダから落ちて死んだそうです。 旦那さんは 「いつものように横で寝ていたはずなのに」 と言っているそうです。 Aさん一家で失敗した霊が、標的をお隣さんに変えたのでしょうか? 「連れて行かれそうになった」という話はよく聞きますが、こんな露骨に連れて行くことがあるなんて…とゾッとしました。
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