27話目

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顔を蒼白にしながらしばらくその場で呆然としていました。 それくらい、怖かったのです。 そうしてやっと後片付けを始めようとN君が言い出し、私達は紙と十円玉を持って外へ出ました。 紙は16枚以上に破り、近くの公園の大きな木の元へ埋め、十円玉は公衆電話で使うことにしました。 電話ボックスに3人も一度には入れないので、N君が受話器を持ち、私が十円玉を入れる事に。 S君は紙を破る係りというコトで。 これで終わる。 私はそう思って、十円玉を電話に入れました。 しかし・・・・・・チャリンッという音と共に、下から出てきてしまったのです。 何度も何度も入れてみるのですが、何度やっても落ちてくる。 コレは壊れているんだ、そうだ壊れている、そうに決まっている。 私達はそう信じたくて、違う電話ボックスへと行きました。 さっきと同じ体勢になり、意を決して、十円玉を入れる・・・。 今度は入りました。 私達はホッしてボタンを押しかけ・・・受話器を持っていたN君が気付きました。 「・・・繋がってる。」 私達の顔はまた、蒼白していました。 十円玉を入れただけの時点だというのに、受話器の向こうに誰かの気配がしていました。 ボタンを押していないのに、電話は〝どこか〟の〝誰か〟と繋がっていたのです。 私達は恐怖で動けませんでした。 そしてその時です。 「・・・・・・・・・」 受話器の向こうで、誰かが何かを言いました。 くぐもった、低い、男の声でした。 初めは何を言ったのかよくわからなかったけれど、二回目はよく聞こえました。 そしてそれを聞き終えた私達はもう必死で受話器を投げ捨て、走ってS君の家へと逃げました。 怖くて、もう何も考えられませんでした、3人共恐怖に泣いていました。 今聞けば、なんともない言葉なのかもしれません。 ですがその頃、私達はまだ小学5年生だったのです。 男は電話の向こうで、こう言ったのでした。 「名前を言え。呪い苦しめてやる。」
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