第三話

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"そういえば"と言って話し出す玄瑞。 その話の内容は、全く想像していなかったことで驚かされた。 だけど栄太郎はうんと頷いて納得しているように見える。 「そう。隊士達の間で湊は美人だと話されている。湊には恋仲とかがいるわけでもないから、君を狙っている男達がいるんだ」 「私なんかを? そんな話全く聞いたことないけど……。でもそれが何か関係あるの?」 「本当に馬鹿だね。君を狙っているってどういう意味かわからないの?」 「えっと、恋仲になりたいとか?」 「普通の男ならね。だけど行き過ぎた考えを持つ奴もいる。特にここは男所帯で、共に住んでいる女は湊、君だけだ」 栄太郎の言おうとしてることがイマイチわからない。 恋仲になりたいと思うことが、私にとって何か悪いことでもあるのだろうか。 そんなことを考えていると、急に晋作がガシッと肩を掴んでくる。 「……湊、お前気を付けろよ」 「何を?」 「簡単に言うと、お前は隊士に身体を狙われている。考えてみれば、ここに住んでいる奴で玄瑞みたいに所帯を持っている奴は少ねぇ。女に飢えてる奴が多いってことだ」 晋作の言葉に顔から血の気が引いていった。
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