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それは、突然のことだった。
「栄太郎! 松陰が…………松陰が、江戸で処刑された」
目の前にいる人物は、酷く辛そうな顔をしながらそう言った。
松陰先生が……処刑された? そんな馬鹿な話、あるわけない。
「桂さん、その冗談すごく不愉快。松陰先生は"必ず戻ってくる"って言ってたんだよ?」
そうは言ったものの声が震える。
桂小五郎こと桂さんは、松陰先生とは旧知の仲で、たまにここ長州に来ることがあった。
「久々に来たと思ったらそんな冗談言ってさ、暇なんだね」
「栄太郎……僕はっ」
「だいたいさ、松陰先生が何か悪いことした? してないでしょ?」
話を聞きたくない。聞いてしまったら、おかしくなりそうで。
「冗談言いにきただけなら帰ってくれない? 俺、これから晋作達と約束があるんだよね」
「ーーー栄太郎っ!! 話を聞くんだ!!」
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