第三話

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◆ 「やべぇ!! いつの間に時間変わったんだよ!! あー! 間に合うか!?」 何……? 朝からうるさいんだけど? 馬鹿のぎゃあぎゃあと騒ぐ声で目が覚めてしまった。 寝不足、というわけではないけれども、出来ることなら少しでも長く寝たいと思うのは人の性。 そして、眠りを邪魔されたらそれ相応の躾をしたくなるのもまた当然で。 「遅れる遅れる! っておお稔麿! 随分早起きじゃねぇか!」 「君が朝からうるさいからだよ」 「いつの間にか会合の時間が変わったんだよ! ってそろそろ行かねぇと!」 バタバタと門の方へ向かっていく晋作。 躾をし損ねた、とがっかりしていると何故かまた晋作がこちらに戻ってきた。 「稔麿。湊のこと頼むな。あいつ、無理してるはずだから」 それだけ言うと、物凄い速さで晋作はいなくなった。 湊、ねぇ……。松陰先生が亡くなってから、ずっと会ってなかったんだっけ? 4年前の松陰先生がいなくなったあの日。 俺が幕府に復讐をすると決めた日。 ーーーそして、湊が俺達の前から姿を消した日でもある。
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