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その日は偶然、湊を含めた俺達五人は松下村塾に集まる約束をしていた。
俺が一人でいると、そこに飛び込むように入ってきた桂さん。
そしてもたらされる、松陰先生が亡くなったという報せ。
『ーーー松陰が処刑されたっ!』
その報せをみんなより一足先に聞いた俺。
そしてその後来たみんなも話を聞いて、石のように固まって動けなくなった。
『う、そだよね? ねぇ、晋作! 松陰先生が亡くなったなんて嘘だよね!?』
取り乱す湊。
昔から泣き虫だった彼女は、ボロボロと涙を零しながら晋作に詰め寄っていた。
『湊、落ち着け。桂さんがこんな冗談言うわけねぇだろ』
『嫌だ嫌だ! 嘘だぁぁぁぁ!! 松陰先生が亡くなったなんて信じられない!!』
『あっ!? 待て、湊!!』
そう言って走り去って行ってしまった湊は、それ以来俺達の前に姿を表さなくなった。
晋作が家に行っても門前払い。
もう会うことはないと思っていた。
だけどどこで聞きつけたのか、湊は奇兵隊にやってきた。
昔とは違う強い瞳を持って、俺達の前に再び姿を表したんだ。
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