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「吉田様! 湊見つけたら私が探してたって伝えてください! 仕事ほっぽるなんて、何考えてんのかしら!」
美人だけれども気の強い香奈。
晋作が好みそうな女だと思う。
香奈は眉間に皺を寄せて、湊が見つからないことに腹を立てている。
だけど急に、パッと表情を明るくした。
「じゃあ私は行きますね! 湊のこと探すの、お願いします。さて、……入江様ぁ!! 今日も素敵ですね! ところで湊を見ませんでした?」
俺の横をパタパタと急ぎ足で通り過ぎて行く香奈。
振り向くと、少し離れたところに九一がいた。
「入江様! 湊がいないんです。私と一緒に探しましょう?」
「ま、待て。……そんなに近付くな」
「照れないでください。さあ、行きましょ!」
嫌がる九一を無理矢理引っ張って連れ去る香奈に、怖さを覚えた。
なるほど。香奈は九一が好きなんだ。女嫌いの九一が相手にするかな?
「まあそんなことより、湊を探すか」
晋作に頼まれた以上は放っとくわけにもいかない。
屯所の中は香奈達が探すだろうから、外に出ることにした。
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