第三話

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「吉田様! 湊見つけたら私が探してたって伝えてください! 仕事ほっぽるなんて、何考えてんのかしら!」 美人だけれども気の強い香奈。 晋作が好みそうな女だと思う。 香奈は眉間に皺を寄せて、湊が見つからないことに腹を立てている。 だけど急に、パッと表情を明るくした。 「じゃあ私は行きますね! 湊のこと探すの、お願いします。さて、……入江様ぁ!! 今日も素敵ですね! ところで湊を見ませんでした?」 俺の横をパタパタと急ぎ足で通り過ぎて行く香奈。 振り向くと、少し離れたところに九一がいた。 「入江様! 湊がいないんです。私と一緒に探しましょう?」 「ま、待て。……そんなに近付くな」 「照れないでください。さあ、行きましょ!」 嫌がる九一を無理矢理引っ張って連れ去る香奈に、怖さを覚えた。 なるほど。香奈は九一が好きなんだ。女嫌いの九一が相手にするかな? 「まあそんなことより、湊を探すか」 晋作に頼まれた以上は放っとくわけにもいかない。 屯所の中は香奈達が探すだろうから、外に出ることにした。
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