第三話

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湊を探すため外に出たはいいものの、皆目見当もつかない。 とりあえず、適当に町の方に出てみた。 湊らしき女を見つけては近付くけど、全て他人のそら似。 「手がかかるね、本当」 ため息が漏れる。 なんとなく露地の方に目をやると、数人の男達が入って行くのが見える。 まさか、ね……。あいつらに連れ去られたとかないよね。 こそこそとした様子で入っていく姿はとても怪しい。 そのまさかもあり得そうで、少しの距離を置いて男達の跡をつけることにした。 前を歩く男達は何かを話しているけど、会話までは聞こえない。 暫く歩くと、男達は空き家と思われるところに入っていった。 相手は四人か。もし湊がいたら、ちょっと分が悪いかな。 外の壁に耳をあて中の会話を聞く。 空き家の壁は薄く、会話ははっきりと聞こえてきた。 「まだ寝てますね。でも案外簡単に連れて来れましたね」 「腹が痛いって言ったら、"玄瑞のとこ行きましょう"って。隙だらけな女だよ」 多分、中にいるのは奇兵隊の隊士だ。 更に会話を聞くことにした。
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