第三話

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「で、どうすんだ? こいつは」 「女にすることっていったら決まってんだろ」 湊をどうするかの相談がされている。 その時、"うーん"と湊が起きたような声をだす。 「あれ? 私、屯所で玄瑞のとこ向かってたはずじゃ……」 「やっと目が覚めたか」 「あの、ここはどこですか? 屯所じゃないですよね?」 馬鹿……。自分が置かれている状況がわからないの? はあっとため息が漏れる。 呑気と言うか人を信じやすいと言うか。 「屯所に帰らなきゃ。私、まだ仕事があるんです」 「はいそうですか。って返すと思うか? お前が隙だらけで、助かったよ」 「きゃっ! 何するの!? 離して!」 中からガンッという音が聞こえてくる。 続いて、湊の悲鳴のような叫びが聞こえてきた。 「嫌っ! 嫌だってば! 離しなさいよ!」 「あーあ。泣かせちゃった」 「泣、いてなんかない! 私はもう泣かないって決めたんだから!」 分が悪いとか考えている場合じゃない。 バンッと戸を蹴破って、中へと入った。
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