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「誰だ!?」
「誰だって言い方ないんじゃない? 君ら、サボって何やってんの?」
「よ、吉田さん?」
「気安く名前、呼ばないでくれる?」
薄暗い室内に、四人の男。
そして畳の上に湊が倒れている。
着物が少しだけ乱れ、時折嗚咽も聞こえてくる。
「栄太郎……?」
小さな声で俺の名前を呼ぶ湊に、いつもの強気な様子は全くない。
刀を抜いて目の前の男に突きつける。
誰も刀は持っていなかった。多分、湊を攫うだけだから必要ないとでも思ったんだろう。
「目障りなんだよね。今出て行けば無傷で済むけど。どうする?」
「ひっ……! い、居なくなりますから!」
三人逃げて残り一人。
「君は逃げないの?」
恐怖に顔を歪めて男が後ずさる。
だけど急にニヤリと笑うと背を向け、湊を捕まえた。
「きゃっ!!」
「女がどうなってもいいのか?」
グッと首を締められ、湊は苦しそうに口をパクパクとさせる。
「刀を下に置け」
見せしめるように、また腕に力を込めるとゴホッと咳をする。
仕方なく刀を置こうとしたその時だった。
「え……たろ。だ、め。……う…し……ろっ」
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