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途切れ途切れに言葉を発した湊。
はっ? 後ろ?
咄嗟に刀を後ろに向かって振ると、悲鳴が上がる。
そこにはさっき逃げたはずの男達が、刀を持って戻ってきていた。
「湊ありがとう。……卑怯だね」
「お前ら二人でそいつを殺れ」
二対一なら負ける気がしない。男達と対峙すると、湊が小さく悲鳴を上げた。
「やっ……触らないで!」
「湊!?」
ガキンッと刀がぶつかる。
力を込めて押し返すと、相手がよろける。
湊の様子を見ると、男に組み敷かれバタバタと暴れている。
「刀を置かないと女が酷い目にあうぞ」
「勝てないからって人質をとるんだ」
湊が男の元にいる以上、俺も思うように動けない。
湊の身体にも心にも傷をつけるわけにはいかないから。
「栄太郎! 私のことなんていいから! 私は、こんなやつに襲われたってなんとも思わない!」
「なっ! この女……! おい! 少しでも刀を動かしたら、女は……」
「栄太郎! 早く!」
「……ごめん。なるべく早く終わらせるから」
再び前の二人を見据える。
腰が引けてる奴等に負ける気はしない。
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