第三話

21/34
前へ
/121ページ
次へ
先に動いたのは相手だった。 刀を大きく振り上げこちらに向かってくる。 「そんな隙だらけな攻撃。受けるはずないよ」 「がはっ……」 胴に向かって刀を薙ぎ払う。 膝から崩れ落ちると、最初に斬った男の上に覆いかぶさるように倒れる。 「あとは君だけだよ」 「お、女はいいのか? 奥に連れていかれたぞ」 「はっ?」 振り向くと、湊が居ない。 そのことに気を取られていると、頬に痛みを感じた。 ツーっと流れる赤い液体。俺の血だ。 「本気で死にたいみたいだね」 今度はこちらから攻める。 相手に休む隙も与えず、どんどん壁際へと追い詰めて行く。 ドンッ 「もう、逃げ場はないよ」 「ま、待ってくれ! 俺は何も!」 「弁解する気? してもいいけど、君を殺すことに変わりはないよ。ただ少しだけ、生きる時間が長くなるだけだ」 腰を抜かして座り込んだ男の首を斬る。 ゴトリと首の落ちる音がしたけど、そんなの気にしている暇はない。 急いで奥の部屋へと向かって行った。
/121ページ

最初のコメントを投稿しよう!

102人が本棚に入れています
本棚に追加