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奥の部屋に行くと、男が湊の細い手首を押さえつけているところだった。
「お楽しみ中悪いけど、返してもらうよ」
「もう二人を殺っただと!?」
「うるさい。俺が君らみたいに人質を使わないと勝てないような奴らに負けるはずないよ。君らの場合、人質を使っても負けてるんだから論外だけどね」
「く、来るな……!」
怯える男に近付いていき、躊躇いもなく刀を向ける。
ツンっと心臓の辺りを少し着く突くと、身体が小刻みに震え出した。
「情けない。湊、今すぐこっちへ来るんだ」
「う、うん!」
男は刀を突きつけられて動けない。
その脇を湊は急いですり抜けると、俺の隣に並んだ。
「はぁ、やっと終わる」
心臓をずぶりと一突きすると、一度大きな痙攣をして男は倒れた。
刀を振って血を払い、懐紙で残りの血も拭き取り鞘に戻す。
そして、湊を連れて空き家を出た。
「あの、ありがとう……。迷惑かけて、ごめんなさい」
謝る湊の目は真っ赤になっていて、頬には未だに涙が流れている。
そっと指で拭うと、湊は驚いたような表情をした。
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