新蔵秤

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今、俺達は高校2年生。 その一年前、入学したての頃に初めて会ったのが千尋だった。 入学式の時に、待っててと言った凛を待ちながら 上の方でひらひら、さくらが落ちてくるのをぼーっとながめていたときに ぐうぜん、隣を歩いて行った人に自然と視線が向いた。 そして、その人影を気づけば必死に追いかけてた。 桜色に染まる道とか、雲一つなくてきれいな青空だとか、みちばたに咲く可愛い花だとか 色鮮やかなもの そんなものより 『きれい…だな…』 純粋な黒を一番きれいだと思った。 今思えば、一目惚れだった。 でも、すぐに相手は男だ、とかそんなものにとらわれて、こんな淡い恋心を認めなかった。 でも、ぐうぜんクラスは同じになって、友達にもなって、知る機会が多くなって。 認めざるを得なかった
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