新蔵秤

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「ふっふ~ん、」 はは、随分上機嫌ですね、おじょーさま。 おじょーさま、凛の前のテーブルにはたくさんのスイーツがところぜましと並んでいた。 「太るぞ。」 「…ああら、私は太りませんし、まだ追加してもいいくらいなのよ?」 「いえ、何でもありません。」 呼び出しボタンで脅迫されるなんて聞いてねえぞ。 さっきの賭けでは、余裕で負けた。 凛の足が速いって事を忘れていたし、俺の足も遅いって言うのを忘れていた。 おかげで財布の中身がさびしがってるよ。 「…貧相な財布だこと。」 見るな。 これからは節約しなきゃなぁ、とか考えて遠い方をぼーっと眺めていると 俺の空っぽだったテーブルに何かが寄せられる。 「ほら、」 抹茶アイスだった。 「ほんと…可愛い奴だな…」 「なっ…」 照れたのか赤くなった凛は、勢いを増してアイスをほおばる。
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