プレリュード 銀河帝国

2/3
前へ
/48ページ
次へ
人類が生まれ育った星、地球。 その、いつの頃か定かでは無い時代に、人は外宇宙への切符を手に入れた。 人類未踏の世界、新たなるフロンティア。 既に地球に埋蔵されたエネルギーをほぼ喰らい尽くした人類にとって、それこそ、来るべき人類存亡の危機を脱する希望の欠片だったのだ。 だが、最初の探査船団……乗員はどちらかと言うと地球から“追い出される”立場の者が多かったが……が地球圏を旅立って3年後、状況は一変した。 人類は、降り注ぐ太陽の光を生活の為のエネルギーへと変換したのである。 従来のような細々とした物ではない。太陽光線が破壊を通り越して変異し始めたオゾン層を通過する際に爆発的に発生する物質“アデガン・パーティクル”をエネルギーに変換する技術を手にした人類は、再びエネルギーを無尽蔵に浪費する時代に逆戻りした。 無限に降り注ぐ光からエネルギーを得て、それを消費し続ける。 後先考えぬ近視眼的な開発、発展が跋扈する時代に地球は逆戻りし、そしてその後、探査船団の事を思い出す人々は居なかった。 度重なる連絡から探査船団“フォイルス”の人々はやがて地球を見限ったのか、それとも絶望したのか、その船団の位置を示すビーコンも、定時連絡も何もかも断ち、本格的に地球と手を切ったのだった……。 それから200年以上の歳月が過ぎた、西暦2800年……。またの呼び名を、地球歴元年。 地球全体の統括政府である地球連合政府発足と同時に、フォイルスは突如として地球へ帰還した。 その姿を大きく変え、人員を大きく変え、夥しい数の未知の兵器を引き連れながら。 かつて自分達を捨てた地球へと、 その地球を支配下に置く為に。 ……彼らの新たなる盟主の支配下に。
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加