第1話

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「アリサ。また、そんな顔をする。」 龍二が席から立ち上がりながら、優しく私の頭を2、3度叩いて。 「アリサが思っているような関係じゃないから、大丈夫だょ。」 とにかくこれ以上は聞かないで。 ときどき龍二はそんな態度をとる。 付き合ってきた当初 からずっとそう。 私には何も言わない。 ほかに誰か気になる人がいるの? 心の何処かで、確信にも近い気持ちが私にはある。 なのに、今日も 気づいてて、気づかないふりをする。 「ごめん。また、デートしようね。」 龍二が私に微笑む。 龍二の笑顔が、作り笑いに見えてくる。 私のこと、気にかけてくれる龍二の優しさは、嬉しい一方で… ときに切ない。 私のこと気遣ってばかりで。 自分のことは、決して話さない。 私の存在って、龍二にとって何? どうすれば、特別な存在になるんだろう私。 こんなに近くにいるのに、龍二が近くて 遠い。 私と龍二が見つめあっていると。 竜也くんが、ヒューヒューと口笛を吹いた。 **☆★***
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