2人が本棚に入れています
本棚に追加
「アリサ。また、そんな顔をする。」
龍二が席から立ち上がりながら、優しく私の頭を2、3度叩いて。
「アリサが思っているような関係じゃないから、大丈夫だょ。」
とにかくこれ以上は聞かないで。
ときどき龍二はそんな態度をとる。
付き合ってきた当初 からずっとそう。
私には何も言わない。
ほかに誰か気になる人がいるの?
心の何処かで、確信にも近い気持ちが私にはある。
なのに、今日も 気づいてて、気づかないふりをする。
「ごめん。また、デートしようね。」
龍二が私に微笑む。
龍二の笑顔が、作り笑いに見えてくる。
私のこと、気にかけてくれる龍二の優しさは、嬉しい一方で…
ときに切ない。
私のこと気遣ってばかりで。
自分のことは、決して話さない。
私の存在って、龍二にとって何?
どうすれば、特別な存在になるんだろう私。
こんなに近くにいるのに、龍二が近くて 遠い。
私と龍二が見つめあっていると。
竜也くんが、ヒューヒューと口笛を吹いた。
**☆★***
最初のコメントを投稿しよう!