紅終章 それぞれの思い

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「……なるほど。あれを 見ていたのか」   暫くして、状況が飲み込めた ミツヒデが納得する。   「あれっ、驚かないの? 明智姉ぇ……?」   二人の抱擁姿を見ても 意外とあっさりしてるミツヒデに 驚く、ヒデヨシ。   「二人は、榛名入手前より 婚約してたのだから ああなるのは、当然だろう? それに、よく見ろ……。 あれは、伽(とぎ)と言うより 北条殿がヨシモト殿を あやしている様では無いか……」   「えっ……?」   ミツヒデに指摘され 再び、覗き込むヒデヨシ。   「……うぅん、確かに そう見えなくもないけど……。 だ、大丈夫かな……? 雰囲気的にも、契りそうな 感じだよ……?」   「北条殿も…………。 今、乙女の誰かと契れば どうなるか、既に承知している。 何故、ヨシモト殿を あやしているのか分からぬが 今は、そっとしておいてやれ」   「う、うん……」   困惑するも、ミツヒデに 諭されたのか、引き下がる ヒデヨシ。   「それより、ヒデヨシ。 ……見回りは良いのか? こんな所で油を売っていたら また、ノブナガ様から 頭を打たれるぞ」   「……あっ」   ミツヒデに指摘され 見回りを忘れていた事に 気付くヒデヨシ。
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