紅終章 それぞれの思い

18/20
260人が本棚に入れています
本棚に追加
/536ページ
「……確かに、噂以上の 強さでは、ありましたね。 東国乙女と北条……。 そして、先代将軍である 足利ヨシテル……」   手合わせた輝元が乙女達について 振り返る。   「特に、オウガイから奪い返した 『蒼榛名』を持つ 北条榛名守基成……。 奴への恋慕か、はたまた 榛名の魅力がそうさせるのか 分断していた東国乙女が 奴によって、再び一つに まとまりつつある……。 危険な存在ではあるな」   松永も、北条に着目する。   「でも、どうして東国乙女達は 榛名を、その人に……?」   コタロウが疑問を投げる。   「……大方、東国乙女が やいのやいの揉めたから あの男が預かったんでしょう。 とても、話し合いで決めたとは 思えないし……」   ムラサメがそれに答える。   「そんな事より、どうするの? 『計画』の方は……?」   鬼灯が話題を変える。   「松永殿、ケルベロス……。 いや、『刃頭雨流』の方は?」   暫く思案していた輝元が 松永に尋ねる。   「今は『平蜘蛛』の中にて 療養中だ……。あと数刻もすれば 傷も癒えよう」   「結構。では、敵の力も 分かってきた所で……。 『神器』の事も合わせて 仕切り直しと行きましょうか」   薄ら笑いを浮かべる輝元。
/536ページ

最初のコメントを投稿しよう!