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彼女らしくない行動に、何かを感じて蓮は静かに貰うよ、と口にした。
受け取ると、それは真っ白な封筒。何も文字の書かれていないその封筒を何度も表裏を見て確認する。
「公演の半ばくらいだったと思います。綺麗な感じの女の子が、絶対に椎名蓮さんに渡してほしいって」
その鬼気迫る勢いに頷くしかなくて、どうしても直接渡したかったと詫びる彼女に、蓮はありがとうと言って封筒を手に楽屋へ戻った。
椅子に腰を掛け、少し震える指先に力を込めて封を開ける。
何となく、予感がした。これはファンレターなどではない、と。
『龍星大学・劇団孤高の守り人
【刹那との邂逅―セツナトノカイコウ―】招待券』
その招待券を見て、刹那の文字を確認すると蓮はハッと声を出して笑った。
腹の奥からクツクツ込み上げてくる笑いが止められなくて、ハハハッと次いで声が漏れてくる。
笑いながら中身を確認するも、そのチケット一枚のみ。
もう一度チケットに目を凝らすと、ようやく見つけた雪だるまの絵文字。
「馬鹿だろアイツ」
悪態を吐きながらも、止まらない笑いと滲む涙。それを袖で拭きながら、蓮の口角は上がるのを止められない。
チケットを大事に鞄に仕舞って、立ち上がると蓮は決意を言葉にした。
「俺の刹那、取り戻してやるよ。スノウ」
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