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ゼンは察したのだろう、そのパーティで一番の巨体で扉に体当たりをした。
扉が開くとすぐに、血の臭いと焼き焦げたような臭いが嗅覚を刺激する。
その強烈な臭いは、精神力が一般人よりタフであろうユーシアたちに吐き気を呼び起こす。
一番年齢が下のリヨは我慢出来ずに胃の中の物を戻していた。
「待って、部屋の奥に誰かいないか?」
ユーシアが手で鼻を抑えつつ目を細める。
「女性……? 死んでいるのか?」
ゼンがその隣で部屋の中を覗き込んだ。
部屋の中は白い煙で満たされ、ほとんど何も見えない状態だったが、何者かが倒れているのを確認できた。
「まだ息があるかもしれない、助けるぞ!」
ユーシアの掛け声を合図に、仲間たちは唇を引き結んで強く頷いた。
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