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『うーん、そんな優しい考えではないな。ただの暇つぶし。あ、今殺したのもただの暇つぶしだから』
エルファルートは爪についた血を舐め取り、がくりと床に寝そべった。
『こんなに退屈なのも数百年ぶりだな……。勇者は最近来ないし、人間も減ってきたし』
今まで殺した勇者は記憶が正しいのなら百二十五人。割合としたら男の方が多かった。
そのなかで唯一記憶に残っているのは八十七人目の勇者だ。
その勇者は今までの勇者とは違い、妻子を持っていた。
家族仲は部外者のエルファルートから見ても良く、とても幸せそうだった。
私もとても幸せだった。その幸せを壊すのは。
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