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「エルファルート様、大変です!」
そのとき、バタバタと鬼の男が乱暴に扉を開けて飛び込んできた。
男の顔にはびっしりと玉のように汗が張り付き、息も荒い。
『何だ騒がしい』
「ゆ、勇者が現れたようです!」
『何だと!?』
体を起こした瞬間、背中の翼が天井に思いっきりぶつかり、天井を軽く破いた。
「う……またですか」
降り注ぐ大小様々な破片を手でどけつつ、男は顔をしかめる。
『勇者、勇者はどんなやつだ!? 妻子持ちか?』
エルファルートは男の言葉を遮るように、一気に言葉を畳み掛けた。
「いえ、少年だそうです。まだ若い」
『少年か……。つまらんな』
「どうしましょうか、幼いうちに息の根を止めておきますか? それともルビアーナ大陸で身を隠している生き残りを探しますか?」
『ふむ……ならばそこに転がっている死体を食え』
「は?」
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