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◇◇◇
「ふぅ……あいつはカルファを食べれたのかしら」
だだっ広いどこまでも続く長い廊下を歩く一人の少女。
年齢な十六、十七ぐらいだろう。絹のようにしなやかな黒髪は彼女が歩みをすすめる度にくるりと舞い、透けるような白い肌とよく合っていた。
目鼻がくっきりとした整った顔立ちをしており、ぱっちりとした大きな瞳は紅く染まっている。
そう、彼女こそあのエルファルートが人間に変化したときの姿である。
もちろん性別や他の動物にも変化出来るのだが、エルファルートはこの姿が一番気に入っていた。
「今晩はエルファルート様。夕食はもう出来ていますよ」
「ありがとう」
メイドに微笑みかけられ、エルファルートもつられて笑みを浮かべる。
この姿のときはエルファルートは理不尽に何かを破壊しない。
部下はこのときが一番心が休まるのだった。
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