破壊竜 エルファルート

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「ううん、なんでもないよ。料理冷めちゃうから食べよ食べよ!」 エルファルートはスプーンを取り出し、赤黒いスープに浸した。 赤黒いスープの原料が何なのかは言うまでもないだろう。 「んん、このスープ美味しい! 血の味がはっきりと出てるね」 「大変光栄です。少し隠し味を仕込んでみました」 コックの帽子を被った猫男が涙を流して答えた。他の人も暖かな拍手を送っている。 しかしただ一人、拍手をしない人物がいた。 「あれ、蛇さんは拍手しないの?」 「主よ、大変なことになりました」 蛇の真剣な声音が、テーブルを静まり返らす。 ひそひそと、何だ。だの、どうしたの?などと、不安を混ぜた声が落ちて消える。
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