勇者様御一行

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「もう到着だと!? 思っていたよりずっと早いじゃないか!! 皆、行け! 向かいう……」 席を勢いよく立ち上がったライオン男の頭が勢いよく吹き飛ばされた。 「勝手なこと言わないでよ。私はそんなの望んじゃいない」 「ひぃ……」 ライオン男の血液をもろに浴びた女が、情けない声を漏らして失禁する。 「ですが……!! どうするんですか? このままだと勇者がたどり着いてしまいます」 「ふむ」 エルファルートはしばし額に手を当てて考え込んだ。いかにして勇者を倒すかということではない。いかにして勇者で面白く遊ぶかについて考えているのだ。 「そうだ!! 私も戦おう!」 「は!? それは一体どういうことでしょうか?」 何人もの声が重なる。 「そのままの意味だよ。適当に指示出しして見てるだけじゃ面白くない。私もこの城から出て、私自身で世界を滅ぼそうってこと!」 「き、危険です! いくら黒竜エルファルート様でも、単独で外に出るのは!」 エルファルートを除くその場にいる全ての魔族が深く頷く。 その瞬間、エルファルートの表情が変わったのに気づくことが出来なかった。
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