勇者様御一行

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「へぇ、私に歯向かうんだ」 鋭い爪がその場の全ての生命を襲った。少女の細くて白い腕は黒い鱗に覆われており、三日月型の弧を描く爪が獲物を求めるように光る。 「あははは、この姿だから殺せないとでも思った? 残念、一部を戻すことも出来るんだよ!」 赤や緑、青など、カラフルに染め上げられた部屋を僅かながらいる生存者が逃げ惑う。 バラバラになった肉や骨が散乱しており、足の踏み場を探すのに骨が折れる。 「すいませんごめんなさい、エルファルート様……どうかお許しを」 細い声が必死に命乞いをする。しかし、その声の主はすぐに燃え尽き、灰となって空気に溶けた。
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