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◇◇◇
「ユーシア、やっとここまで来れたね」
魔法使いであるマリンが甲高い声で笑った。水色をしたツインテールがわさわさと揺れる。
「ほとんど何にもしてねぇだろ。ダンジョンはボス一つ現れねぇしよ、トラップすら作動しないってどうなってんだ?」
よく鍛えられた筋肉が、分厚い鎧の上からでも分かる。
右目は戦いで傷つき、視力を失っていたが、左目を鋭く光らせた戦士が呆れたようにため息をついた。
「まぁ……いいじゃないですかゼンさん。リヨはなるべく争いたくありません……」
白い法衣で身を包み、茶髪でショートカットの少女が口を開いた。
両手で抱えている杖は細かく震えている。
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