2人が本棚に入れています
本棚に追加
「はは、そうだな。なるべく俺も争いは避けたい」
リヨと同じ茶色の髪に、神と同じ緑色の瞳。まだあどけなさが残る少年が明るく笑った。
彼こそ、世界が待ち望んでいる勇者様。彼の母親は単純な人だったのだろう、名前はユーシアという。
「はいはい、もうこの話は後でにしよ! とっとと倒してさっさと帰る。一番楽でいんじゃない?」
マリンが腰に手を当てて言った。
「同感だな」
「そうですね……」
すると、マリンはユーシアに向き合う。
「解除呪文、唱えていいでしょ? もうあたし、派手な呪文を唱えたくてイライラしてるの」
「マリンはほんと短気だな……。いいよ、好きにしなよ」
マリンはガッツポーズをした後、すぐさま黒く大きな扉に両手をついた。
扉には黒い竜の彫刻が施されており、いかにもラストダンジョンといった風格だ。
『我の前を阻むもの 我の未来を阻むもの 全て等しくその場を去れ! 解除呪文!』
最初のコメントを投稿しよう!