第2話 婚活

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第2話 婚活

 こんな私でも定年後にやりたい事はある。  「定年になったら旅行に行かないか?」  「旅行?どこに?」  「そうだな・・・国内なら、全国!」  「全国?」  「そうさ、日本国内の名所旧跡とか 全部見てまわるのさ。」  「馬鹿じゃないの?」  「お前の言たいのは、お金だろう?『そんなお金、どこにあるのよ!あんたの年金じゃ近くの温泉に行って終わりじゃない。』・・そんなとこかな。」妻の言いたそうな言葉が頭に浮かぶ。  「そうよ。いったいどこにそんな・・」妻は、馬鹿にしたように語尾を小さくして聞こえないように言った。  「それには考えがある。」  「どんな?」馬鹿にしたような妻の声。  「軽キャンパーって知っている?」  「何それ?」  「軽自動車のキャンピングカーの略さ。」  「え?もしかして、あんたの軽で旅行するの?」  「そうさ、ワゴンだから後ろを倒せば、二人楽に寝る事が出来るよ。」  「二人・・・?」妻の声が小さく聞こえる。    「食事は、コンビニを使えば・・」話の途中で妻が・・  「ちょっと待って、なんで私とあんたが・・・」かなり興奮したのだろうか、途中から声がかすれて聞こえない。  「・・・?」ちょっと驚いて間を置く私。  「悪いけど、私は行かないからね。私は、一人が良いの。」  「・・・」  「行くならあんた一人で行ってね。」  「・・・」  思えば、定年後の趣味を押し付けても 妻は反対するだけ・・・分かっていたのだけど・・・  さあ!自由の身になったんだ。旅行の・・・・  『一人で行くのか?』自答する・・・  『それは、寂しい・・』  『じゃ、どうする?』  『妻と一緒でしょ!』  『妻?・・って誰?』  『・・・・』  『再婚するか!』
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