0人が本棚に入れています
本棚に追加
第4話 写真
いくつかメールを送ってみたが・・・返事が無い。
『シカトかよ・・・』
『仕方が無い・・また検索・・・』
『おや?』
あるプロフィールの最後の文に・・・目が釘付けになる。
・・・・写真の無い方へのメールへは、返信しておりません。イメージがつかめないからです。・・・・
そう言われても・・・このサイトに登録している人達のほとんどに写真が無かった。有っても顔が小さかったり、風景の写真だったり・・・
『こんな私の顔を出したら・・・』もう初老の域に達している顔は、とても人様に・・・
いやいや・・・それでは、婚活をやる意味が無くなる。ここは思いきって・・・
翌日・・会社においてあったデジカメで自分撮り。早速、サイトにアップする。
『我ながら・・・なさけない。ふっ・・』
こんな写真で・・・そう思いながら、再検索・・・いない・・
『もう一度、(メールを)送ってみようかな・・・』
『いやいや・・未練がましい・・』
自分でも思うのだが、こういう意地が役に立った事がない。もっと素直になれば良いと思うのだが・・・・
『今日は終わり。』
それからしばらくメールも出せずに、検索、相手のプロフィールの閲覧の繰り返しをやっていた。
このサイト、相手のプロフィールを見ると自分の「足あと」が相手に残ってしまう。写真を載せたからだろうか・・・自分のプロフィールを見に来てくれる人が増えた。
『へえ・・・こんな写真でも 結構役に立つのか・・・』
勢いついた私は、会社の人に写真を撮ってもらう事にする。
「どうした?資格を取るのか?」
「そうさ。もうすぐ定年だろ、その前に・・・」
「そうか・・俺は、そんな気分じゃないよ。定年になったら好きな畑で・・」
こいつの家庭菜園の自慢話は、耳に・・・。
「ありがとうな。」
「ああ、資格が取れたら言ってくれ。俺の野菜でお祝いしてやる。」
「期待してくれ。」
『あいつ・・・これじゃ、資格申請に貼る写真じゃないか・・・』
本当の事を言えない私は、『仕方ない・・この写真で。』
別の婚活サイトに登録して、写真を掲載・・・。
『これで準備は出来た・・さあ・・』
最初のコメントを投稿しよう!