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残り六秒。
正解はどれだ?
ビタミンAか、Bか、Cか、Dか、其れともEか…。
塾考しても、無駄に時間を消耗するだけで在る。
ならば、己の直感が導く答えを、回答する他無い。
「残り五秒、四、三、二…」
えい儘よと、僕は、残り一秒の所で躯を思い切り揺すって合図を送った。
先生は、僕が、猿轡をされて居て、発語が出来ない事に配慮をしてくれたのか? 回答一覧を記載した紙に教鞭を当て、「此? 此?」と僕の反応を確認する。
視覚や聴覚迄封じられたなら、彼の教鞭で打たれるのだろうか?
僕は、Cの所で、勢い良く、コクリコクリと頷いた。
「残念。正解は、EのビタミンCなのよ。
罰として、視覚を奪います」
先生は包帯を、僕の頭に此でもかとグルグルと巻きつけ、後頭部で、キュッと強く結んだ。
先生の姿が見えず、声のみが聞こえる。鼻から呼吸が出来、長髪の香水の香は何とか嗅げる。
だが其れが、先生の姿を拝みたいと言う心情を更に掻き立てる結果と成り、
益々、問題所では無くなったが、
一つだけ判ったのは、陵恥屈雪なる仕打ちは、金輪際被りたく無い、その為には、アスコルビン酸に含まれる栄養素は、間違い無く、ビタミンCと言う事だ。
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