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先生は、
次の問題で最後にすると仰った。
最後なので、正解したら、此までの拘束を全て外し、望みを一つだけ叶えてくれると付け加えた。
僕の望み、
其れは、全身拘束で散々鬱積した僕の、衝動的な性癖を満たして欲しい。
唯、其れだけだが、遣る気は、マックス・ヴォルテイジに達して居る。
先生も、総ての拘束解除に加え、望みを叶えると豪語した手前、そう簡単な問題は出さない様だ。
「家庭に於ける、飲食の総支出を%で現す係数は」
此なら判る。
先生は、僕の躯を配慮して、問題の難易度を下げてくれたのだろう。答えは、
「エンゲル係数ですが…」
問題に続きが在ったのか。
「では、ドイツの統計学者エンゲルが、此のエンゲル係数を発表したのは何時でしょう?
A・1859年
B・1856年
C・1855年
D・1857年
E・1854年
制限時間、十秒以内で判ったら、合図を送って」
最後の最後で正解を出して遣ろうと、躍起に成って居たが、唐突に頭の中が真っ白に成った。
頭に何も浮かんで来ず、
情け無い事に、
最早僕は先生の魅力を、引き立たせる事は出来なく成った。
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