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しばらくして救急車が到着し
すでに息を引き取った男性を乗せ
近くの病院へと搬送された。
千切れた右腕は後部座席から発見された。
所持していた物から、男性は
香田善治(こうだ ぜんじ)49歳
香田弁護士事務所の弁護士ということが分かった。
遺体の損傷は酷く、
直接的な死因の判断は難しかった。
「これは事故ってことでいいのかしら」
私がそう言うと、
早田君は首をかしげた。
「本当に事故なんでしょうか。
車の破損具合を見ても
ブレーキペダルの踏み間違えとは
考えられないほどの衝撃です。
おそらく百キロ以上は出てたと思います。
それにブレーキ痕も見当たりませんし」
「でも、何らかの要因で
意識が無くなったってことも
考えられないかしら」
「いえ主任、考えてもみてください。
高速道路で意識を失ったのなら
その考えも出来ますが、
こんな駐車場で百キロ以上も出す人なんていないですよ」
なるほどその通りだ。
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